・良いデッキは一貫性がある

僕がデッキを嫌いにしている要素の1つが一貫性のなさだ.いくらかのデッキは強力だが,その強力なカードをサポートするためにたくさんの弱いカードを採用している.過去に何度もこういうデッキをプレイしてきたが,これは避けたいアプローチだ.

親和とジャンドを例に挙げよう.親和はジャンドのどのカードよりも強力なカードが存在する.Cranial Platingは例えば親和においてモダン環境のほとんどのデッキのほとんどのカードより優れているものだ.
また親和にはジャンドのどのカードより劣っているカードが存在する.Memnite,Springleaf Drum,とかね.もしデッキのパワーレベルの平均をとるならば,親和はジャンドを上回ることはできるかもしれない.しかし僕にとって,平均なんてほとんど意味がない.問題なのは調和平均だ.

もし君が調和平均をあまり知らないのならば,それは低い値が全体をより低くするような平均だと思ってほしい.
調和平均において最大値と最小値のバランスの良いものが良く,10と4の平均は7だが,10と4の調和平均は5.7だ.7と7なら平均,調和平均ともに7となる.

僕はこれがMagicのデッキをとても反映しているように感じる.なぜなら小さい値は大きい値より問題になるものだからだ.
僕はほとんどの場合において2枚の堅実なカードのほうが,1枚の強力なカードと1枚の弱いカードより優れていると感じる.
なぜならもし僕がそのうちの片方しか引けないとしたら,もしくはもし片方が処理されてしまったら,前者のほうが優れているからだ.
結論として,僕は強力なカードが欲しいが,一部のカードが強力であるよりは全てのカードが強力であってほしい.

他の強力だが一貫性のないデッキの例として,Hawaiiでプレイされた以下のデッキをあげよう.

Main Deck
4 Copperline Gorge
5 Forest
4 Inkmoth Nexus
2 Kessig Wolf Run
6 Mountain
4 Rootbound Crag
1 Acidic Slime
1 Birds of Paradise
4 Huntmaster of the Fells
2 Inferno Titan
4 Primeval Titan
3 Solemn Simulacrum
1 Thrun, the Last Troll
4 Galvanic Blast
2 Green Sun’s Zenith
4 Rampant Growth
4 Slagstorm
4 Sphere of the Suns
1 Whipflare
Sideboard
2 Ancient Grudge
1 Autumn’s Veil
2 Beast Within
1 Combust
2 Garruk, Primal Hunter
2 Karn Liberated
2 Naturalize
2 Thrun, the Last Troll
1 Whipflare

このデッキは確かに強力だ.君は3ターン目にHuntmaster,もしくは4ターン目にPrimevalやInfernal Titanをプレイすることが出来る.そしてそれは10点の毒を稼ぐ手助けをしてくれる.4ターン目にカーンが出せる.

しかしこのデッキはとっても一貫性がない.土地を引く必要があり,マナ加速を引く必要があり,ボムを引く必要がある.もしそれが出来なければ,もしマナ加速やボムが処理されてしまえば,君のデッキはバラバラだ.
試合が長引いたのならば勝つことができない.現実的にデッキの14のカードが必要で,46のカードが引きたくないものだ.そのうちの12,たったの8枚はとっても強力なカードだ.
もし君が8枚のうち1枚を引いたら,君は確かに勝つことが出来るだろう.しかしもしそれが出来なければ?Slagstorm,Rampant Growth,Sphere of the Sunsを引いたら?

じゃあ僕がどのようにデッキに一貫性を持たせてるのかって?それには少しだけ方法がある.最初の一番効果的なものは弱いカードをデッキに入れないことだ.Vector Aspを見ろよ,冷静になれ,こいつただの1/1バニラだぞ.

2つ目はカード選択だ.例えばPonder,Preordain,Sensei’s Divining Top,Brainstorm,Grisly Salvage,Faithless Lootingといったカード.
カード選択は2つの方法でサポートしてくれる.1つ目はより少ないランド枚数で回せるということ.これらのスペルは必要な枚数だけランドを掘ってくれる.したがってゲーム終盤になるにつれ自然と有利になっていく.
2つめはその場で必要なカード,必要でないカードをフィルタリングしてくれるということ.不必要なものをドローせずに済むんだ.

3つ目の方法は効果を持つ土地を入れるということだ.ジャンドやセレズニヤのようなデッキはマナフラッドを避けるためにRaging RavineやGavony Townshipを採用しており,これらを採用していないデッキに比べてとてつもないアドバンテージがある.

4つ目は多芸なカードを使うということ.例えばSnapcaster Mageは様々なシチュエーションでいろんな使い方ができる.序盤から終盤まで,このカードが効果的でない場面なんてほとんどない.
Lingering Soulsなんてカードも多芸だ.序盤に普通に唱えることもできるが,終盤引いてもとても強力なカードだ.
Delverはとても一貫性のあるデッキだった.なぜなら少ないランド枚数に,Ponder,Snapcaster,そしてMoorland Haunt,様々な要素をカバーしていた.

心にとどめておいてほしいことは,一貫性のないデッキが悪いといっているわけではないということだ.僕はAffinityが悪いデッキだとは思っていない.自分たちのプレイしたケッシグが悪いデッキだと思っていない.何より僕はそれを選択したんだからね.しかしそれは理想ではなかったということだ.
君は勝てるデッキをプレイするだろうが,カードパワーにギャップがあるようなデッキが勝っているのはそのおかげではない.一貫性のなさはデッキをプレイできなくさせるほどではないが,デッキを悪くしている.他の要素がありデッキをプレイアブルにしてるかもしれないし,ベストデッキにしているかもしれない.ただ確かにその足を引っ張っている要素だ.

・良いデッキは1つの点に拘らない

僕にとって,良いデッキは極端に1つのカード,1つの戦略を攻撃されやすいものではない.もし君のデッキが絶対的にDestroy the Evidenceを処理できなくても何の問題もない.誰もそんなカードをプレイしないからね.
だけどもし君のデッキがDeathrite Shamanを処理できないのならば,それは問題あることだ.

なぜならもし相手が持っていたら,君は勝てないからだ.そしてもし持っていなかったとしても,必ずしも勝てるわけではない.
考えてみてほしい.例えばみんながLeyline of the Voidをプレイしている中,君がドレッジをプレイすることを決めた.
もし君がそうすれば,40%の確率で相手の初手にLeyline of the Voidがあり,ゲームに負ける.ふざけてるね.

なら僕はどうやって1枚のカードによって負けることを避けるのかって?これは手間がかかるよ.とっても難しい.例えば親和デッキをShatterstormで負けないようにしたり,ドレッジをRest in Peaceで負けないようにしたり.
ほとんどの例においてたとえ君がそうしたとしても,他のデッキに勝てるようにデッキを構築しないといけない.

だからそんなことが起こらないデッキを選ぶほうが良い.例えばジャンドはとても素晴らしいデッキだ.なぜなら1枚のカードで自動的に負けてしまうことがないからね.そして全ての悪いマッチアップも45対55だ(だけどほとんどの良いマッチアップも55対45だ.再度言うけど,バランスが大事だ.).

そういったタイプのデッキの使用を考える唯一のシチュエーションは,僕にとって,環境にデッキの苦手とするカードが存在しないと信じるに足る理由があるときだけだ.
僕は悲観主義者で,確実に全ての人がそうするであろうと予測することはできないと考えている.そして僕はそんなリスクを取りたいと思わない.だから僕はほぼ確実にそういったデッキをプレイしないだろう.
しかしそういったデッキが勝てる時期も確かにある.例えば親和はPT Return to Ravnicaにおいて素晴らしいデッキだった.他のデッキが苦手なカードをほとんど採用していなかったからね.だけど次のトーナメントにおいてあのデッキはとっても悪いものになっていたよ(このタイプのデッキのいつものことだね).

・良いデッキはフリーウィンがある

これは厳密に必要な点ではなくて,良いデッキであるために必要はない.だけどもしフリーウィンがあるのならば,確実にプラスになる.
フリーウィンは普通にカードをプレイしただけで基本的に大した労力もなく勝てることだ.
例えば2ターン目のBitterblossomは環境のあらゆるデッキを駆逐した.2ターン目のPutrid Leechはまれに単体で人を殺した.デルバーデッキがWastelandで相手のスペルを唱えさせることなく勝利した.スタンダードにおけるStoneforge MysticからのBatterskull.Counterbalanceによるロックなどなど.

もし君がStone Rainのようなカードをプレイすることを決めたら,君はそのカードのおかげでいくらかの試合を勝利することが出来るだろう.だけどそれは決してフリーではない.なぜなら勝つことが出来なかったときデッキにStone Rainが入っているならば,それが実質価値だからだ.
そういったカードは勝利の責任があって,それが勝利を導けなかったとしても良い働きをしなければならない.

・良いデッキは良いサイドボードを持つ

僕にデッキを最も引き付ける要素のうちの1つが良いサイドボーディングだ.みんなはたいていメインデッキだけを見る,たとえデッキを構築するときもね.だけどトーナメントにおいてサイドボーディングされた試合がほとんどだ.
例えば単色デッキのようないくらかのデッキは,サイドボーディングの良い選択肢が少ない.それは最悪な特徴だ.なぜならみんなはサイドボーディング後によりよいデッキになるわけだからね.
もし君のデッキが良いデッキだが良いサイドカードがないのならば,君は他を見るべきだ.

一般的に,僕は軽い解答が好きだ.Duress,Ghastly Demise,Negate,Dispel,Darkblastのようなカードは素晴らしいサイドカードになる.なぜならこういったカードは必要ならばデッキのマナカーブを下げることが出来て,それはゲーム終盤に強力なインパクトをもたらす.
僕はまたWrath of Godのようなカードも好きだ.相手が必ずしも君がそのカードをプレイするとは想定していないからね.

僕は包括的なカードがより好きだ.特定のデッキに対して刺さるカードよりも,特定のアーキタイプに刺さるカードをプレイするほうが良い(例えばDuressはコンボデッキやコントロールに刺さる.一方Rule of Lawはストームを完全に止められるがScapeshiftに対して全く良いカードではない).
このスタイルのサイドボーディング(僕の好きなもの)はコントロールデッキにとって良いものだ.なぜなら複数の包括的な解答を入れる余裕があるからだ.アグロデッキは一般的に抜くカードが少ないため,対象を絞ったより効果の大きいカードが必要となる.

・良いデッキは勝つ

もちろん,一番重要な部分はこれだ.ある意味でこれが良いデッキを良いデッキ足らしめる本当の「ルール」だ.他は大した本当は問題ではない.だけど注意深くサンプルのサイズを見る必要がある.2ゲーム勝つことはそのデッキが「勝つ」ことを意味しない.君はその勝利がまぐれでない理由を理解する必要がある.もしそのデッキに僕が挙げたような特徴がなくしかし依然として勝ち続けているのならば,それは良いデッキだ.ほとんどないが,起こり得ることだ.
覚えてほしいことは僕が書いたことはガイドラインであって,探すべき特徴で,君のデッキに含めるべき,そして一般的にデッキを良くするものだ.だけど絶対的なものではない.

君が楽しんでくれたことを期待してるよ,じゃあまた来週!

PV

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疲れた、毎回翻訳記事書くと途中で量の多さに後悔するなあ…。
構築記事以外あんまり好きじゃないからスルーしてるけどたまに読むと良いこと言ってる。

コメント

らいと
2013年1月6日13:40

翻訳お疲れ様でした!
とても興味深い内容で参考になりました。

naota
2013年1月6日17:55

ありがとうございます!
やっぱPVの記事は興味深い内容が多いですよねー。

TKG.com
2013年1月13日11:07

これは・・・胸に刺さる記事でした!

翻訳お疲れ様です!そしてありがとうございます!

naota
2013年1月14日22:59

TKGさんコメントありがとうございます!
翻訳は労力がかかるんでそういったコメントが励みになります!

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